解決事例報告

借地借家Q&A その6(連帯保証人の責任)

2019.07.27 谷真介

Q 10年前に甥が賃貸マンションを借りるにあたり,甥から「迷惑をかけないから」と頼まれて連帯保証人になりました。賃料は7万円と聞いていました。
先日その賃貸マンションの管理会社から,「甥っ子さんが3年間賃料を滞納しているので,その間の賃料約250万円を連帯保証人として支払ってください」という通知が届きました。
驚いて甥に確認したら,確かに3年間全く支払っておらず今月退去することになっている,失業してお金がなく滞納分は全く払えない,ということでした。こんなことになる前になぜもっと早く家主側も甥も教えてくれなかったのか,怒りしかありません。
連帯保証人である以上,私が250万円もの大金を支払わないといけないのでしょうか。

 

A 減額を主張することができると考えます。

 

連帯保証人は,借主が貸主に負う義務(賃料など)一切について責任を負います。
本件のように賃料が滞っていた場合には,借主に替わって連帯保証人が家主に支払をしなければならないのが大原則です。
そのため,連帯保証人になることを頼まれても,そのようなリスクがあることを十分に念頭において,慎重に考える必要があります。

では,借主が3年間も滞納を続けていることについて,貸主が連帯保証人に何も告げないでいて,突然3年分の賃料をまとめて請求することは許されるのでしょうか。

この点については,滞納が長期化しているにもかかわらず,貸主が漫然と契約解除の手続をとらず,連帯保証人にそのことを知らせずに,後からまとめて多額の請求をした事案において,連帯保証人に対する請求を一定額に制限した裁判例があります。
本件でも減額の交渉は十分可能と考えられますので,一度弁護士に相談することをお勧めします。

なお,2020年4月に民法が改正される予定で,それ以降に保証契約をした場合には,賃貸借契約の保証人についても極度額(この限度で責任を負うという金額。おそらく賃料6か月分くらいが想定されます)の定めをする必要があります。極度額の定めがない場合には保証契約自体が無効になり,(連帯)保証人は責任を負いません。
詳しくは弁護士にご相談ください。

 

 

谷弁護士の借地借家Q&A解説シリーズ