相続法の改正についての解説③
2019.05.09
徳井義幸
Q 自筆遺言を作りやすくするため財産目録は自筆の必要がなくなったということですが、他にも便利になったことがありますか。
A そうですね、これまでは自筆の遺言については家庭裁判所で検認という手続が必要とされていました。
この検認というのは、家裁で相続人立ち会いの下で自筆遺言書の内容等を確認する手続で偽造を防止するために必要とされてきました。今回法務局で自筆遺言を保管してもらう制度(遺言書保管法)ができ、これを使えば従来の検認は不要になりました。なおこの制度は2020年7月10日から実施されます。
Q なるほど。それで保管された遺言についてはどんな取り扱いがされるのでしょうか。
A 相続人らは、全国の遺言書保管所で自筆遺言が保管されているか否かを調べたり、遺言書の写しの交付を請求したり、また閲覧もすることが出来ます。また相続人の誰かがこれらの請求をすると他の相続人全員にも遺言書が保管されていることが通知されます。
Q ところで、自筆遺言書の作成を容易にすると言うことですが、遺言書はこれまであまり利用されていなかったということでしょうか。
A そうなんです。諸外国に比べて作成率が低いと言われています。
正確には不明ですが日本では遺言書を作成する人は10人に1人ぐらいといわれています。