相続法の改正についての解説⑬
2019.07.17
徳井義幸
Q それでは、いよいよ今回の遺留分制度の見直しについて教えて下さい。
A まずこれまでの遺留分制度では、遺留分権利者が遺留分の主張をすると、不動産なども共有の状態になるとされていました。例えば、妻が遺言で取得した自宅について一人息子が遺留分権を行使すると、一人息子は自宅について4分の1の共有持分権を有するようになり、妻は残りの4分の3の共有持分権を有することになります。いわゆる共有状態になったのです。
そうすると、二人が円満でない場合など自宅の共有のためトラブルが生じかねません。あるいは逆に一人息子が事業を引き継ぐために父が不動産を息子に与える遺言をしたのに、妻が遺留分を主張して、息子の事業の承継に支障が出たりするようなこともあり得ます。
Q なるほど。それでどう見直したのでしょうか。
A 遺留分の行使があっても共有にせず、持分に見合う金銭の請求しかできないように改めたのです。遺留分はお金でしか請求できなということです。