相続法の改正についての解説⑮
2019.07.25
徳井義幸
Q 今回の改正では相続人以外の親族が被相続人の療養看護などをした場合には、その親族も金銭の請求ができるようになったと聞きましたが、特別の寄与の制度というんでしょうか。
A そうです。よくご存知ですね。
例えば、これまでは、亡き長男の妻が長男の父親の介護をしていても、父親が遺言で長男の妻に例えばお金を遺贈することにでもしていなければ、長男の妻は夫の父親の相続人ではないので何の財産ももらえませんでした。
Q 確かにそれは長男の妻には気の毒ですよね。相続人が何の面倒も見ていないような場合にはなおさら不公平ですね。
A そうですね。そこで今回の改正では、このような長男の妻にも相続人に対して亡父の介護の貢献に応じて、金銭の請求ができるようにしたのです。実質的な公平を図る意味があります。
特に相続人が父親を放ったらかしていた場合などを考えますと。
Q 高齢化社会の有り様に対するひとつの対応策ですね。
A そうですね。貢献を金銭評価することによって不公平感を解消することができますね。