相続法の改正についての解説⑰
2019.08.28
徳井義幸
Q 預金については預金者の死亡が確認されると金融機関は相続人全員の同意がないと払戻を認めない取扱いだそうですね。
A そうなんです。従って、相続人間の仲が悪く協力しあえないような場合には、例えば葬儀費用に使おうとしても引き出せず困ってしまうような例があります。今回の改正ではそのような不便を避けるために預貯金の仮払制度が設けられました。
Q へえ、仮払制度ですか。どんな制度なんでしょう。
A 裁判所に仮分割の申立をして、被相続人の借金の支払や相続人の生活費に必要であると認められると遺産である預貯金額の3分の1にさらに相続人の相続分を掛けた金額の範囲で払戻が認められます。
例えば、預貯金が900万円、相続人が子供3人とすると900万円×1/3×1/3=100万円の範囲で認められますね。