解決事例報告

故人のインターネット銀行や仮装通貨(デジタル遺産)に関する相続手続きを代理で行った事案

2024.11.20 西川翔大

1 事案の概要

相談者の息子は、遠方に居住しており、家族もいない中、突然1人で亡くなりました。警察からの連絡を受けて、相続人であった相談者は突然、相続手続きの対応に迫られました。

故人のスマホを確認すると、複数のインターネット銀行に預貯金があることが分かりました。しかし、各銀行のアプリには、パスワードが設定されていましたが、思い当たるパスワードを試してみると、確認することができました。また、スマホのメールなどからは仮装通貨を保有していることも分かりました。

しかし、高齢の相談者は、このような場合の相続をどのように進めればよいか分かりませんでしたので、相談に来られました。

 

2 対応方法と解決

(1)はじめに

故人が亡くなられた場合に、インターネット銀行や電子マネー、暗号資産(仮装通貨)等のデジタル遺産も相続の対象となり得ます。

そのため、各種相続手続きをとっていく必要があります。

近年、このようなデジタル遺産の相続手続きをどのようにすればよいかお悩みの方が増加しています。 しかし、高齢者の方や、インターネット銀行や電子マネーの取扱いに不慣れな方は、どのような手続きをとるべきか分からないことも多々あるかと思います。

このような場合には、お気軽にご相談いただければ弁護士が直接ご相談に対応していきます。

 

(2) インターネット銀行の預金・仮想通貨

まず、インターネット銀行に残された預貯金や仮想通貨も相続の対象になります。

  • 相続手続を進める場合、各インターネット銀行の相談窓口に、電話で、故人が亡くなったことや相続手続を行いたい旨を伝えます。
  • 次に、各インターネット銀行の指示に基づき、払戻申請書、相続関係を示す、被相続人の戸籍謄本(出生から死亡まで)、相続人全員の戸籍謄本、本人確認のため、相続人全員の印鑑登録証明書などの必要書類を取得し、郵送で、インターネット銀行に送付します。
  • あとは、銀行との解約・払戻手続を進めていくことになります。

 

(3) 電子マネー・ポイント

キャッシュレス決済を行う際に用いる電子マネーには、①事前にお金をチャージして支払う前払い型・プリペイド式(例:ICOCA、WAON、AMAZONギフト券など)、②決済の度にお金が引き落とされる即時払い型(例:デビットカードなど)、③クレジットカード等と連携して決済は後から行われる後払い型があります。

このうち、②③は電子マネーそのものにお金が貯まっているわけではないため、相続の対象にはなりません。

これに対して、①のように事前にお金をチャージしているものはチャージしているお金については、各会社によって異なりますが、相続の対象になる可能性があります。

また、ポイントやマイルについても、所定の手続によって相続人が承継することが可能な場合があります。

これらの手続の可否は、各社の利用規約・会員規約に基づいているため、具体的には各社に問い合わせて手続を進めることになります。

ただし、有効期限や手続の期限が定められている場合が多いので、可能な限り、速やかにご相談いただくことをおすすめします。

 

(4) 暗号資産(仮想通貨)

暗号資産(仮想通貨)も財産的価値があるため、相続の対象となります。この場合も、各種の暗号資産によって相続手続が定められているため、インターネットの相続手続ページから個別に確認して進めていくことになります。

 

3 調査もお手伝いします

このように各種手続を進め,無事にインターネット銀行の払戻しや各種解約を終えて、相続人に相続させることが可能となりました。

デジタル遺産には、今回のように、どこのインターネット銀行と契約しているのかが分からないケースも多々あります。

故人の各種媒体やメールアドレス、アカウント等から調査することも可能ですので、お気軽にご相談ください。