北大阪&豊中総合法律事務所共催セミナー「住む所がなくなる!?区分所有法改正案の問題点」のご報告
2025年4月11日(金)18時30分~、北大阪総合法律事務所と豊中総合法律事務所は共催で「区分所有法改正案の問題点」についてのセミナーを開催し、豊中総合法律事務所の馬越弁護士からご報告いただきました。
区分所有法改正を巡っては、区分所有法制度研究会(一般社団法人金融財政事情研究会)や、法制審議会区分所有法制部会が開催され、主に再開発を進めるディベロッパー側の意見聴取をもとに、正当事由なしに賃借権の消滅が認められる制度創設が検討され、2023年6月8日に区分所有法制の改正に関する中間試案が公表されました。
これに対しては、自由法曹団から、決議要件の緩和に対して財産権の制限は必要かつ相当な範囲に限られるべきであること、借地権消滅制度は不要であることなどの意見が述べられてきました。
しかし、2024年1月16日に区分所有法制の見直しに関する要綱案が全会一致で決定され、本年3月4日には区分所有法などのマンション関連法改正案が閣議決定されました。
馬越弁護士は、「賃借権消滅制度の創設は、建替決議があったことのみを理由として借地権の消滅を請求することができれば、現行の借地借家法の正当事由制度の例外を設けるものであり、建替えに反対する賃借権にとっては一方的に住む場所がなくなってしまうおそれのある制度である。不当な立ち退き要求が増えることが懸念される。」と報告しました。
また、豊中総合法律事務所の藤木弁護士からも箕面市の事例をご報告いただき、建物の建替えや立退きの具体的事例について検討を加えました。
今回のご報告により、正当事由なく賃借権消滅を請求することが可能となり、賃借人にとってはこれまで以上に住む場所を奪われる危険が高まっているという問題意識を参加者とともに共有することができました。
今後も、北大阪総合法律事務所、豊中総合法律事務所は継続的にセミナーの実施を予定しています。
次回は、2025年5月16日に谷弁護士から「市民活動と『政治的中立』」についてご報告いただく予定です。