破産者の借り方次第では、破産免責決定後でも返還請求できます
2011.08.11
森平尚美
お金を貸した相手が破産してしまった場合には、免責決定とともに自己の債権は請求できなくなってしまうので泣き寝入りされるのが通常ですが、破産者のお金の借り方如何では、返還請求をできるケースもあります。
たとえば、資力からみてもう誰にも返金できないのがわかっているのに、色々な嘘をついて、いずれは返金できるものと錯覚させてお金を借りた場合や、最初からまったく返すつもりがなく、資金的に返すあてもないのに言葉巧みに借金話を持ち込んだ場合など、明らかに詐欺的なケースであれば、不法行為に基づく損害賠償債権として、破産の免責決定があっても、別途返還請求を認められることがあります。
したがって、複数の人間に同じように資力を偽って破産直前に借金を繰り返していたケースや、悪質な詐欺だと思われるケースについては、破産免責決定がなされても諦めずに請求してみることもひとつです。
もちろん、返すつもりもあり、色々努力をしていたが返金できなかったという通常の破産債権のケースも多いでしょうが、場合によっては、客観的状況からみて当初から返すつもりがなかったことが明らかになる場合もあります。
ご自分の債権が破産債権として破産手続きに組み込まれて一部の配当金を受け取った場合ですら、詐欺的な不法行為として免責決定後の不法行為請求が認められたケースがありましたので、貸し金当時の債務者の状況を聴き取り調査してみることが有益な場合もあると思います。詐欺被害に遭われた場合には、諦めずに検討してみてください。