姉が遺産を独占して渡そうとしない…損害賠償請求の訴訟
2009.08.10
名波大樹
依頼者の母親の遺産について、相続人は依頼者と依頼者の姉(相手方)の2人でした。1,000万円以上の預金だけが遺産として残されたのですが、母親が亡くなる直前に相手方が全額を引き下ろし、独占して依頼者に渡そうとしませんでした。
調停を申し立てたのですが、相手方は出席せず、調停は不成立に終わりました。
そこで母親に無断で預金を引き下ろし、依頼者に相続分を渡さない行為は不法行為に当たるとして、損害賠償請求の訴訟を起こしました。
訴訟の中で相手方は、「亡くなる直前の母親から依頼されて預金を引き下ろし、母親から全額の贈与を受けた」と主張しました。
しかし、その預金があった金融機関の職員を証人尋問したところ、「『母親から依頼されたのだから引き出して渡してほしい』というので、母親に電話で確認したが、重度の痴呆で意思確認ができなかった。また『相続人は自分だけで、他に相続人はいないので、他の相続人に確認を取る必要はない。』と嘘をつかれ、それなら問題ないと考えて引き下ろした」という証言を得ることができました。
その結果、これらの相手方の行為を不法行為と認定し、依頼者の相続分と同額の損害賠償義務を認める判決が出ました。