枚方市・非常勤職員への退職金は「違法な公金支出」!? -大阪地裁の非常識な判決
地方自治体の職員のうち3割から4割が非正規職員で占められているといわれています。その多くは、住民サービスの最前線で重要な役割を担っていながらも、正規職員の半分以下の低い賃金しか受け取っていないといわれており、「官製ワーキングプア」としていま全国的に問題になっています。
大阪府枚方市でも、市の職員のうち実に37%が非正規職員です(2009年4月現在)。
そのうち「一般職非常勤職員」と呼ばれていた職員約380名に対して支払われた一時金や退職金について、それが「違法な公金支出」にあたるから返還せよという住民訴訟が起こされました。訴訟を起こしたのは「オンブズ・パーソン」を自称する一人の市民(2007年市議選に立候補して落選した人物)でした。
地方自治法は、「非常勤の職員」に対しては、「手当」を支払ってはならないと定めています(地方自治法203条の2)。しかし「非常勤の職員」とは何かを定める定義は規定されていません。そのため、自称「オンブズ・パーソン」氏は、法律を形式的にあてはめれば、違法な公金支出にあたると主張したのでした。
一審の大阪地裁は、2008年10月31日、「一般職非常勤職員」と呼称される職員らは、その勤務の実態に照らせば、「非常勤の職員」ではなく「常勤の職員」にあたるという画期的な判断を示しました。しかし、枚方市の条例の定め方が十分ではなかったとして、結論としては、職員らに支払われた一時金・退職金は「違法な公金支出」だったと認定して、職員らにその返還を命じるという、まったく非常識きわまりない判決を下しました。
「一般職非常勤職員」と呼ばれる職員らは、名称こそ「非常勤」ですが、実際には、正規職員とほとんど変わらない仕事をしていました。しかし、その賃金は、一時金を加味したとしても、正規職員の半分程度にしかならない、まさに「官製ワーキングプア」でした。
日本だけでなく世界中で「均等待遇」が求められている状況にもかかわらず、「官製ワーキングプア」として虐げられてきた「非常勤職員」に対して、さらに一時金・退職金を返せと命じることが許されるものではありません。
現在、大阪高裁で審理が継続中です。ぜひ逆転勝訴を勝ち取りたいと思います。