民主法律協会(民法協)60周年記念行事が盛大に開催
民主法律協会は,今から60年前,大阪を中心とする労働弁護士,労働組合,労働法学者が組織をした全国的にも珍しい組織です。
当事務所の弁護士も,民法協の創世期において中心として活躍した橋本敦弁護士を筆頭に,歴代の幹事長や事務局長などの要職を担ってきました。弁護士と労働組合,労働法学者の三者が垣根を越えて闊達に議論し,運動を進め,裁判闘争を勝ち抜かんという民法協の組織は,他の地域からも羨ましがられています。最近では大規模労働争議は減りましたが,派遣・契約社員・パート等の非正規雇用問題,過労死やメンタルヘルスの問題,高年齢者雇用やブラック企業問題,外国人労働問題等,民法協の課題は尽きません。事件だけでなく,労働法制改悪に対する闘いや,憲法改悪に対する闘い,民商の方と協力した中小零細事業主の独禁法研究会等の市民的課題にも取り組んでいます。
今年は民法協創立60周年になり,8月27日に大阪市内のヴィアーレ大阪にて,記念行事とレセプションが盛大に開催されました。
第1部の記念講演は森岡孝二・関西大学名誉教授による「新自由主義の席捲は雇用関係に何をもたらしたのか」。新自由主義の跋扈は,ちょうど労働者派遣法が成立した1985年ころから始まりますが,森岡先生からは,その後の30年間に進行した雇用の非正規化と「雇用身分社会」出現の経過を歴史的に明らかにされました。続いてのミニパネルディスカッションでは,当事務所の鎌田弁護士がコーディネーターとなり,当事務所OBの豊川義明弁護士,労働組合活動に長年携わってきた活動家やNPOでブラック企業問題に取り組んできた若手弁護士らで,「新たな運動の萌芽と展望」というテーマで議論しました。労働者の権利擁護のアクターとしてのNPOや,職種別ユニオンの構築という提起は新鮮でした。会場からは「これまでの運動がうまくいかなった理由をきちんと明らかにすべき」との指摘もなされ,この課題は民法協の重要課題として今後も引き続き考えていくべきことが示されました。
第2部のレセプションは,大阪のみならず,東京の日本労働弁護団本部や兵庫民法協,京都,滋賀からも含め,各地から多彩な方にご参加いただき,大きな盛り上がりを見せました。