本当の「働き方改革」の実現を!
安倍政権は、「働き方改革実現会議」を設置し、長時間労働の是正、同一労働同一賃金の実現、「非正規労働」という言葉をなくすと言っています。労働者にとって歓迎すべきことのようですが、そう単純ではありません。忘れてはならないのは、この働き方改革が、「企業が世界で一番活動しやすい国にする」というアベノミクスの「成長戦略」の一環であることです。
わが国では、 非正規労働者が4割近くとなり、正社員との格差が拡大したことで、国内の消費も伸びず、少子高齢化が進み将来の労働力不足がもたらされ、成長の阻害要因となっていると考えているのです。派遣法改悪など非正規労働者を増加させてきたこれまでの自民党の政策の矛盾と行き詰まりの現れとも言えます。
このように、安倍内閣の掲げる「働き方改革」は、あくまで成長戦略の一環ですから、はじめから成長を阻害するものは排除され、中途半端に終わる可能性があります。
しかし、安倍内閣の「働き方改革」はまやかしであると批判だけするだけでは、現状は改善されません。
今、大切なことは、「上からの改革」を不十分なものに終わらせないように、草の根の「下からの広範な運動」によって、より実効性のある「改革」の実現を求めていくことではないでしょうか。電通の若い女性新入社員が過労自殺し、マスコミに大きくとりあげられています。電通は過去、最高裁で新入社員の過労自殺事件で責任を断罪されています。電通の企業体質は責められるべきですが、企業間競争と労働者間の競争による精神的ストレスと長時間労働は、電通に限らずわが国の企業社会に横行している構造的なものといえます。ブラック企業被害対策弁護団が行った真夜中のホットラインには悲痛な相談が多く寄せられています。政府に、これらの実態をぶつけて、企業社会の構造にメスを入れる実効性ある改革を求めていくべきです。例えば、長時間労働の是正については、労働時間の上限規制を行い、使用者に対して全ての労働者の労働時間の把握と管理義務を罰則付きで義務づけること等です。しかし、いくら規制を強化しても職場で遵守されなければ意味はありません。労働基準局の監督行政の強化はもちろん、労働組合やオンブズマンが職場で長時間労働や行き過ぎた労働者間の競争を抑制する役割を果たすことも求められています。