米国航空会社の客室乗務員解雇解雇(雇止め)事件で職場復帰の和解ができました
2017.07.25
鎌田幸夫
アメリカに本社を置く世界有数のY航空会社が空前の利益を上げながら、国際競争力の向上を図るとして原告ら契約社員である客室乗務員を解雇(雇止め)したため、地位確認と賃金等の支払いを求めた事案で、平成29年3月6日、大阪地裁で勝訴しましたが、7月19日、大阪高裁で職場復帰の和解が成立しました。
和解の内容としては、原告の女性は、正社員の客室乗務員として復職し、解雇期間中のバックペイはむろんボーナス、プロフィットシャアリング(特別報奨金)など経済的な回復はむろん、原告が一番求めていたシニオリティ(職場における様々な優先権の順番を決めるものであり、アメリカの会社においては重要なものです)を入社日を基準とすることも確認できました。8月にトレーニングを受けた後、9月には2年ぶりに客室乗務員として念願の大空での仕事に戻るとのことです。原告の女性は、和解成立後、裁判所の廊下で、片手をあげて「やった~」と飛び上がり、喜び一杯の様子でした。
長年、労働者側で労働事件を担当してきましたが、解雇事件で職場復帰できるケースは数少ないのです。ましてや契約社員として雇い止めされた事件で正社員として復職するというのは初めての経験であり、とても嬉しく、晴れやかな気分になりました。
今、政府による解雇の金銭解決制度の導入が検討されていますが、職場復帰を目指して裁判をする道を封じることにつながるものであり、許してはならないと改めて感じました。
(担当は,弁護士鎌田幸夫,同谷真介)