「4月以降もアルバイトで」 – 突然の内定取り消し
2009.08.13
中西基
2008年秋以降の世界的な金融危機の影響を受けて、全国的に、新卒採用予定者の内定取消が相次いでいると報道されています。しかし中には、そのような世間の風潮に便乗して、安易に内定取消を行っていると思われるような事案もあります。
今回のケースは、09年3月31日で大学院を卒業して4月1日から正社員として就職が内定していた方からのご相談でした。4月1日から正社員になる予定で、その前の2月からは同じ会社でアルバイトとして働き始めていました。
3月26日に卒業式を終えましたが、その翌日である3月27日、突然、会社から「4月以降も引き続きアルバイトで来てください」と一方的に告げられました。
ご相談をお聞きして、さっそく3月30日付で会社に対して、「内定取消は違法であって許されない」と内容証明郵便で通知しました。
その後、会社側の代理人弁護士との間で協議し、4月21日付で、一定の解決金の支払いを受けること、採用内定の際の会社側の説明が不明確であったことについて謝罪を受けること等の内容で合意(示談)が成立しました。
採用内定は、内定時点ですでに労働契約が成立していると解されています。したがって、会社側がその内定を取り消すには、「正当な理由」が必要になります。正当な理由がないままに採用内定を取り消すことは違法です。(電電公社近畿電気通信局事件・最高裁S55.5.30)
内定取消は、これから社会に出ていこうとする若者の夢と希望を打ち砕きます。これからの日本の未来を背負っていく若い世代を犠牲にすることはあってはならないと思います。