タイムカードがなく、労働時間の立証が難しい場合でも解決
2015.10.06
中西基
住宅リフォームの飛び込み営業で働いていた正社員。午前8時30分に出勤して朝礼の後、午前9時には外回りに出発し、午後7時まで飛び込み営業をすることとされていました。午後1時、午後4時、午後7時の1日3回、電話で状況を上司に報告することとされていました。
午後7時に営業活動を終えて、そこから事務所に戻ってくると午後8時すぎになります。その後、日報をつけたり、発注を受けた案件の図面作成や積算などのデスクワークを行い、退社するのは毎日午後10時以降、遅い日には深夜12時になることもありました。
なお、出勤簿には、あらかじめ始業時間「午前8時45分」、終業時間「午後9時」と入力されていました。タイムカードはなく、残業代は一切支払われていませんでしたので、未払残業代の支払いを求めて労働審判を申し立てました。
会社は、外回りの営業は社員1人だけで活動しているので、その間に無断で業務から離脱している(サボっている)時間があるなどと主張しました。
営業社員は、ICレコーダーを持参し、飛び込み営業の状況はすべて録音することとされていましたが、録音データが記録されていない時間帯はすべて「非勤務時間」=サボっていたという主張でした。しかし1軒1軒歩き回って行う飛び込み営業ですから、当然、移動のための時間もあるはずです。
タイムカードが存在せず、労働時間の立証が困難なケースでしたが、ご本人の就労実態を詳細に主張することや、会社側の弁解の不合理さを明らかにすることによって、ご本人も納得できる金額の残業代を支払ってもらい解決することができました。