タトゥーのあることがわかりいきなり即日解雇を言い渡され、仮処分申し立て
Eさんは、数年来パチンコ店でアルバイトとして勤務してきましたが、ふとしたきっかけから、左腕にタトゥー(入れ墨)が入っていることが店長に判明しました(パチンコ店の制服は長袖であり,それまでタトゥーは外からは見えていませんでした)。
店長が本社にEさんのタトゥーのことを告げたところ、Eさん、即日解雇を言い渡されてしまいました。
Eさんは採用以来ずっと真面目に勤務し、評価もされてきたのに、タトゥーが判明したというだけで即日解雇されるのは納得できないとして、相談に来られました。
そこで、代理人名で相手方に通知書(内容証明郵便)を送り、本件解雇は無効であると告げて交渉に入りました。
Eさんは解雇の際、先方に言われるままに「退職届」の書式に署名押印させられていました。そのため相手方はこの書面を根拠に、Eさんが自主的に退職したと主張して譲りませんでした。しかし本件では、相手方はEさんに対し一方的に解雇予告手当を振り込んでおり、「解雇」であることは明らかでした。
とはいえ、相手方の態度からは交渉による解決は困難と判断せざるを得なかったため、Eさんについて地位保全と賃金仮払いの仮処分を申し立てることとしました。
仮処分とは、債権者(本件の場合は,解雇されたEさん)からの申立てにより、裁判所が決定する暫定的措置をいい、申立て後1週間から2週間で第1回審尋期日が入り、決定までスピーディーである点,印紙代が安い点などにメリットがあります。
また賃金仮払いの仮処分は、裁判を待っていてはその間の生活に困窮するという場合に、相手方による賃金の仮払いを実現するための手続で、決定が出れば強制執行(保全執行)によりその内容を実現できる点に特徴があります。
本件については、仮処分申立書において、Eさんは「解雇」されたこと、その解雇は無効であることについて主張を尽くしたところ、第1回の審尋期日において、相手方が解雇の無効を認め、Eさんの復職を認めるという内容で和解が成立しました。
Eさんが相談に来られてから約1か月でのスピード解決となりました。