事故で後遺障害の公務員。身分保障され減収もないとして保険会社は遺失利益を認めず、裁判
2009.01.27
鎌田幸夫
国立病院のレントゲン技師の方が、夜間、道路の端を歩行中、対向してきた自動車のハンドルミスで右膝に衝突されたという事案です。
1年以上治療して症状固定となり、右膝に頑固な神経症状を残すものとして、自賠責保険の後遺障害等級認定で12級となりましたが、任意保険会社は、損害項目のうち、後遺障害の逸失利益(後遺障害のために労働能力が低下したことにより本来得られたはずの収入が得られかったことによる損害)については、公務員の場合は身分保障がなされており事故後も減収がなく、将来の降格・減給されることもないから、認められないと主張してきました。
そこで、裁判を提起して、本人が痛みをこらえ努力しているからこそ、退職に至らず働き続けることができており、また本人の努力により降格・減給もされていないということを主張しました。
判決では、後遺症による現実の減収のない公務員であっても、それは、本人が痛みをこらえて仕事とするという努力や工夫によるものであるとして、10年間、10%割合の逸失利益の損害が認めれました。このように、後遺障害により現実の減収のない場合であっても、将来の逸失利益の損害が認められる場合があるのです。