借地借家Q&A その2(修繕)
2019.03.26
谷真介
Q 築50年の借家に住んでいます。水道が壊れて家主に修繕を求めたら,そんな高い費用は出せないので出て行ってくれと言われています。家主に修繕は求められないのでしょうか。また立ち退かなければいけませんか。
A 家主に対し修繕を求める権利があります。住み続けたい場合は,立ち退く必要はありません。
家主は,賃借人から決められた家賃を受け取る代わりに,賃借人がその建物に居住して不便なく生活できるようにする義務があります。水道が壊れると賃借人は生活ができませんので,家主に修繕を求めることができます(民法606条1項)。家主が修繕しない場合には,「保存行為」として賃借人側で業者に依頼して修繕し,その費用を家主に請求することもできます(民法606条2項)。
また,家主が賃借人に借家契約の解約(立退き)を求める場合には,まず6か月前に通知をしなければなりません(借地借家法27条)。通知から6か月経つまでは,いかなる理由があろうとも退去する必要はありません。
また,その解約申入れには「正当事由」が必要になります。単に建物が古いというだけで「正当事由」には該当しません。設例でいいますと水道の修繕は家主の義務ですから,修繕したくないことを理由に逆に立退きを求めるのは悪質ともいえます。納得できる立退料を提示した場合には,それに応じて退去することも一つの選択肢ですが,賃借人が住み続けたい場合には,家主に水道の修繕を求め,そのまま居住し続ける権利があります。家主が家賃を受け取らない場合には,管轄の法務局に毎月家賃を供託しましょう。