解決事例報告

借地借家Q&A その3(賃貸人の変更)

2019.04.27 谷真介

Q 借家に住んでいます。突然,家主が変わったので出て行ってくれと言われました。応じなければいけませんか。

また,どうも家主が建物を担保にして銀行に融資を受けていたようですが,それが滞り競売にかけられた場合には立ち退かなければなりませんか。

 

A 家主が変わったとしても立ち退く必要はありません。建物の担保の実行の場合には,担保権設定と居住の先後で決まります。

 

家主が建物を売却した場合,賃貸借契約もそれにともなって新所有者に移ります。
借家人は建物の「引き渡し」(居住のこと)を受けていれば,建物所有者が変わったとしても,新所有者に対し借家権を主張することができます(これを「対抗力」といいます。借地借家法31条)。

いわゆる「地上げ」業者などは,借家人を立退かせて高く転売する目的であえて賃借物件を購入する場合もあります。
悪質な業者から立退きを求められた場合には,お早めに弁護士にご相談ください。

家主が金融機関から融資を受けるために賃借建物に担保(抵当権)を設定している場合があります。
賃貸する際に担保が付いていれば家主は賃借人にそのことを説明する義務があります。

家主が融資を返済できなくなった場合は,金融機関が建物を競売することとなり,これを落札した方が新所有者になります。
この場合、賃借人が立ち退かなければならないかどうかは,担保設定の登記の時期と賃借人の居住の時期の先後によって決まります。
賃借人が居住した後に担保権設定の登記がされた場合には,賃借人は建物を落札した新所有者に対し借家権を主張することができ,立ち退く必要はありません。
担保設定の登記の時期は,法務局(どこの法務局でもかまいません)で建物の登記簿謄本を確認すれば分かります。

 

 

谷弁護士の借地借家Q&A解説シリーズ