解決事例報告

借家の明け渡し請求と立退料について

2015.06.11 森平尚美

建物の老朽化を理由に長年住み慣れた借家の明け渡しを要求されるケースがあります。

築年数が数十年以上である場合には、地震への備えが不十分で実際に生命の危険もあるために、正式に不動産の鑑定などで家主が危険を立証することが可能なケースも多々あります。

その際には、契約の解約を申し入れる「正当な理由」が備わりやすいため、契約の終了の正当理由そのものを争うよりは、明け渡しすることを前提に、明け渡し時期の長期化やその間の家賃の免除、今後の生活のために必要な立退料として、転居先への引っ越し代や転居先の保証金、家賃相当額(ケースによってはひと月のみでなく数か月分)などを、粘り強く交渉して獲得する方が得策な場合もあります。

住み慣れた家を離れる事は確かに決断しにくいとは思いますが、老朽化の度合いとの兼ね合いによっては、家主からの明け渡し請求訴訟を提訴される前に、今後の生活費を多く獲得する方向での任意交渉や民事調停で妥結した方が、結果として良い場合もあります。

そこで、家主からの解約申し入れの通知があった場合には、その対応策として、ただ拒絶を続けるだけではなく、合理的な正当理由が備わりそうなケースでは、代案としての立退料等についての具体的な交渉や調停も視野に入れて頂けたらと思います。