解決事例報告

協議離婚。金銭の約束は口約束や自己流の契約書ではなく、公正証書作成を

2009.01.27 森平尚美

当事者間で長期間話し合いを継続し、最終的な離婚の合意成立に第三者を関与させたいとの意向で相談を受けた事案です。

親権者についてはすでに合意が出来ていましたので、財産分与と面接交渉、養育費などの具体的な取り決めについて双方の希望を確認調整し協議離婚書を作成して、同時に公正証書を作成して公証人役場において後日の金銭的な紛争を防止する形で、協議離婚を成立させました。

戸籍課への届出については、調停の場合には調停調書の持参により、協議離婚書の場合は連名で記載するいわゆる離婚届の持参により、いずれも当事者に行って頂く点では変わりありません。

しかし、協議離婚の場合に取り決めた金銭に関する約束(養育費や財産分与や慰謝料、生活支援金などの金銭支払約束)を公正証書にしないで、単に離婚届用紙のみに署名押印しただけで届け出をしてしまった場合には、その後に金銭に関する約束が破られた場合には、もう一度調停や裁判をして、調停調書や判決書を裁判所にもらってからでないと、強制執行(たとえば相手方の給料や預貯金を差し押さえるなど)が出来ないことになり、結局は手間が2倍になってしまいます。

公証人役場で作成する公正証書の費用はそれほど多額ではありませんので、相手方との任意での解決が可能な場合で、離婚と親権者の決定以外に何らかの金銭支払いの約束をする場合(当方が頂く場合)であれば、口約束や自己流の契約書作成だけで終わらせるのではなく、公正証書を作って書面として内容を明らかにして公証人の判子を頂いておくことが望ましいといえます。