相続の基礎Q&A2「具体的相続分」
2020.04.23
西川翔大
Q2.【具体的相続分】
去年の暮れに兄が800万円の預貯金を残して亡くなりました。遺言書はありませんでした。亡兄の妻は健在ですが、子はいません。両親も既に他界しています。私たちは、3人兄弟で亡兄(長男)、長女、次男の私です。長女も夫とともに既に他界し、一人の息子がいます。この場合、亡兄の遺産は誰がいくら相続するのでしょうか。
A 亡兄の妻は600万円、次男の相談者が100万円、長女の息子が100万円を相続します。
まず相続人は、①配偶者と②被相続人に子がいない場合には兄弟姉妹となります。そして、③本来相続人となるはずの兄弟姉妹の一人が亡くなっている場合には、代襲相続となり、その子が相続人となります。したがって、相続人は、①亡兄の配偶者である妻と②弟の相談者と③亡長女の息子ということになります。ここまでは前回のおさらいです。
次に、今回遺言書はないので、法定相続分について確認します。法定相続分は、以下の3パターンに分かれます。
⑴ 配偶者及び子が相続人の場合・・・各2分の1
⑵ 配偶者及び直系尊属が相続人の場合・・・配偶者は3分の2、直系尊属は3分の1
⑶ 配偶者及び兄弟姉妹が相続人の場合・・・配偶者は4分の3、兄弟姉妹は4分の1
今回は、配偶者及び兄弟姉妹が相続となる場合なので、⑶のとおり、妻が4分の3、兄弟姉妹が4分の1となります。そして兄弟姉妹の相続分を相談者と亡長女で分けることになるので、さらに2分の1となります。したがって、妻が600万円(800万円✕3/4)、相談者(次男)が100万円(800万円✕1/4✕1/2)、亡長女の息子が100万円(800万円✕1/4✕1/2)となります。