相続の基礎Q&A9「公正証書遺言」
2020.06.01
西川翔大
Q9.【公正証書遺言】
私の母は病気で声を出すことができないのですが、そのような場合でも公正証書遺言の作成は可能ですか。
A.お話できない方、耳の聞こえない方でも公正証書遺言の作成は可能です。
公正証書遺言とは、公証役場の公証人から作成してもらう遺言書であり、遺言の効力などをめぐって争いになりにくいものです。公正証書遺言の作成の流れは以下のとおりです。
まず、公証人と遺言書の内容の打ち合わせを行います(2週間〜1ヶ月程度)。
遺言書には具体的に誰に、どの財産を相続させるのかを正確に、かつ財産の特定が容易な内容で記載する必要があり、付随して例えば不動産であれば登記簿謄本、預金口座であれば通帳の写しなどの資料を準備する必要があります。
そして、遺言者は公証人と日程調整を行い、証人2人立会いのもと公証人に以下の手順で公正証書遺言を作成してもらいます。基本的には公証役場で作成しますが、自宅や病院から動けない方のために公証人が出張して作成することもできます(ただし、公証人の出張費用が必要となります。)
① 公証人が遺言者に対して本人確認
② 遺言者が遺言の趣旨を公証人に口頭で伝える(口授)。
③ 公証人が遺言者の口述を筆記し、これを遺言者及び証人に読み聞かせる。
④ 遺言者及び証人が、筆記に誤りがないことを承認し、各自署名押印。
⑤ 公証人が真正に作成された旨を付記し、署名押印。
お話できない方でも、事前に公証人にその旨を伝えておけば、筆談により公証人に遺言者の意思を伝えることができますし、自書のできない方でも通訳人を通して遺言者の意思を伝えることができれば、公正証書遺言の作成も可能です。