長時間労働のトラック運転手の過労死…労災認定と会社からの補償
2010.11.29
鎌田幸夫
運送会社に勤務し、配送業務に従事していたXさんは、毎朝午前5時前に自宅を出て、夜11時過ぎに帰宅するという長時間労働であり、休日も1~2週間の1回程度しかとれていませんでした。
もともと高血圧であったXさんは、ある日、脳幹出血によって倒れ、数ヶ月後に亡くなりました。当事務所ではご遺族のご依頼を受け、労災申請をして認定を得たうえで、勤務先とも交渉して労災外の慰謝料を含む補償もしてもらうことができました。
長時間労働による過労死の認定基準は、発症前1ヶ月がおおむね100時間以上、または発症前2ヶ月ないし6ヶ月間におおむね80時間以上の長時間労働があれば、業務との関連性が強いとされます。
また高血圧等の持病があっても、過重な業務によって急速な悪化があったといえれば、労災認定されます。また企業は、長時間労働によって従業員が健康を損ねることがないように配慮したり、高血圧等の持病のある従業員には,健康保持のための職務軽減をするなどの配慮する義務があり、これを怠ると損害賠償義務を負うことになります。持病があってもあきらめる必要はありません。
最近、過労死やメンタルヘルスの相談を受けることが増えました。過労死のない職場を実現することがの大切さを痛感します。