解決事例報告

高齢で認知症の叔父に不審な女性。銀行でお金を引き出させられたり…

2013.03.19 名波大樹

相談者は60歳代の方で、「自分の叔父は今80歳を越えて、一人暮らしをしているが、最近、その叔父の少ない財産をねらって不審な女性が叔父の家を出入りしているらしい。何とかならないでしょうか」という相談でした(以下ではこの叔父さんを「本人」といいます)。

本人は市営住宅で一人暮らしをしているのですが、認知症が進んで判断能力が低下しており、問題の女性に銀行に連れて行かれてお金を引き下ろしたりさせられていました。

本人の判断能力が低下しており、自分の財産管理が適切にできない心配がある場合には、成年後見人を家庭裁判所に選任してもらい、その成年後見人が本人の財産を管理するという制度があるため、相談者にその制度を紹介し、家庭裁判所に対して成年後見人選任の申立をするように勧めました。

相談者が成年後見人選任の申立をしましたが、本人の親族の中に、適切な成年後見人候補者がいないという裁判所の判断もあり、結局私(名波)が成年後見人になることになりました。

成年後見人になってすぐに、問題の女性が管理している本人名義の通帳などを渡してもらい、その後は、介護料や医療費は成年後見人から支払うようにしました。

成年後見人が就任するまでに、すでにその女性がいくらか本人の財産を使ってしまっていましたが、就任後はそれをくい止めることができました。

この成年後見制度は、本人の財産がねらわれている場合だけでなく、本人の判断能力が低下して、病院や介護施設との契約ができない場合に、本人に代わってその契約をし、本人の財産から適切に病院や介護の費用を支出するためにも有効な手段となります。