「同一労働同一賃金ガイドライン案」が公表されました!
同じ仕事をしていても正社員と契約社員とパートと派遣では賃金がぜんぜん違います。また、同じ業界・業種であっても企業によって賃金体系はまったく異なります。このような賃金格差が、社会全体の格差と貧困の広がりの大きな要因となっています。
安倍政権は、少子高齢化対策として「一億総活躍社会」を目指すとしています。そのための柱の1つとして「働き方改革」を掲げて、「同一労働同一賃金の実現」、「長時間労働の抑制」、「高齢者の就労促進」をうたっています。2016年12月には、「同一労働同一賃金ガイドライン案」を公表しました。
しかし、その中身を見てみると、「同一労働同一賃金」とは名ばかりのものになっています。同一労働同一賃金原則とは、同じ仕事に対しては同じ給料を支払うという原則ですが、政府のガイドライン案には、この原則のことは一言も書かれていません。書いてあるのは、「同じ仕事をしていてもこういう場合には賃金に差をつけても問題になりませんよ」ということばかりです。なお、仕事の内容と関連しない手当(例えば、通勤手当や食事手当など)は同一の支給をしなければならないとか、福利厚生施設(食堂、休憩室、更衣室など)は同一の利用を認めなければならないと書かれています。
政府は、このガイドライン案を踏まえて法律を制定する予定ですが、その内容からして、法律ができたからといって雇用形態による賃金格差の問題が直ちに解消されるわけではありません。
ガイドライン案の公表に先立って出された厚生労働省の検討会による「中間報告」では、賃金(賃金を含む待遇)をどのように決めているか、できるかぎり客観化して透明性のある形で提示できるようにすべきであり、企業には説明責任がある、とされています。まずは、それぞれの労使間において、正規・非正規それぞれの賃金(賃金を含む待遇)がどのような基準・根拠に基づいて決定されているのかを客観化していく取り組みが重要ではないでしょうか。