「非正規公務員」という言葉をご存じでしょうか?~官製ワーキングプア問題と吹田市非常勤職員雇止め裁判~
2017.01.06
谷真介
「非正規公務員」という言葉をご存じでしょうか。
非正規雇用は民間の会社ばかりでなく、国や自治体など公務員の世界にも拡がっています。数年前の調査では、国家公務員で約7万人、地方公務員で約60万人が臨時職員や非常勤職員等。割合にして3割、3人に1人が非正規公務員なのです。
これら非正規公務員は、賃金は正規職員の2分の1から3分の1。半年や1年の「任用」が繰り返され、雇止め(更新拒否)に法律上の制限はなく自由なクビ切りが横行しています。民間以上にブラックな非正規公務員(官製ワーキングプア)の存在がまだまだ世間に明らかになっていません。
吹田市非常勤職員雇止め裁判(当事務所では中西弁護士と谷が担当)は、期間1年の「任用」が20年以上更新されてきた吹田市の非常勤職員2名(総合福祉会館で障害者デイサービス事業の指導員として勤務)が、維新市政の下での事業の民間委託に伴い雇止めされた事件です。正職員は配置転換されたにもかかわらず、20年以上働いていた非常勤職員は「クビ」にされました。2016年10月の大阪地裁判決は、公務員の「任用」は民間の雇用契約と異なり、何年働いていたとしても当局側が全く自由に決められるとして、職場復帰も損害賠償もすべて認めない全面敗訴判決でした。非正規公務員も実態は同じ労働者なのに、地方公務員法の身分保障規定も民間の労働契約法も適用されず、法律の保護を全く受けないことについて疑問を全くもとうとしない不当判決でした。原告2名は大阪高裁に控訴し、裁判所の固い扉を切り拓く闘いが続いています。