北大阪セミナー「問題だらけの夢洲IRにストップを!夢洲IR差止め住民訴訟の概要」の報告
2023年6月7日(水)18時半から、「夢洲だらけのIRにストップを!夢洲IR差止め住民訴訟の概要」というテーマで北大阪セミナーを開催しましたので、簡単に当日のセミナーの内容をご報告します。
当日は、Zoom参加、事務所内外を含めて8名に参加していただきました。
現在、大阪地裁では、大阪市に対して、夢洲をIR事業者に貸す借地権設定契約を差し止める住民訴訟が2つ提訴されています。
一つは、大阪市が夢洲の土地改良費用を負担する旨の合意の締結や借地権設定契約の締結を差し止める訴訟です(「先行訴訟」といいます)。
もともと埋立地である夢洲の土地上にカジノや高層ホテル等の施設を建築するためには、夢洲の軟弱地盤の強化、土壌汚染対策、液状化対策や地中埋設物の撤去等の多額の土地改良工事費用が必要となります。既に大阪市から土地改良工事費用として約790億円の支出が予定されており、地盤沈下対策費用は未定であり、さらなる大阪市の負担が想定されます。このような土地改良工事費用を大阪市が青天井に負担することは違法であり、そのような合意内容を含む合意書の締結や借地権設定契約の締結を差止めが求められています。
もう一つは、大阪市が夢洲をIR事業者に対して貸す際の借地料が不当に廉価であり、そのような借地権設定契約の締結を差し止める訴訟です(「後行訴訟」といいます)。
詳しくは提訴記事をご確認いただければと思いますが、当該借地料を大阪市が設定するにあたって、複数の不動産鑑定業者の鑑定を踏まえています。しかし、その鑑定に際して、鑑定業者4社中3社が一致する鑑定結果となり、大阪市の不当な誘導や指示等が強く疑われます。また夢洲をIR事業者に対して貸すにあたっての鑑定であるにもかかわらず、「IR事業を考慮外」とする不可解な鑑定がされています。このような不当な鑑定に基づいて設定された借地料は「適正な価格」ではなく違法であるものとして、借地権設定契約の締結を求めています。
大阪市は、先行訴訟との関係では高層ホテルを建築するために多額の土地改良費用が必要であると説明しているにもかかわらず、後行訴訟との関係では高層ホテルではなく低層のショッピングセンターを前提とした不動産鑑定に基づく借地料の設定を行っており、矛盾する大阪市の説明が浮き彫りになっています。
当日のセミナーでは以上のような2つの訴訟の内容や関係性、現在の住民訴訟の状況、昨年夢洲の現地視察を行ったときの状況などを報告しました。
参加者からは、「大阪市が夢洲でのIRを採算度外視で強引に推し進めようとしていることが分かった」、「2つの訴訟の違いと関係が分かった」などの声もあり、充実したセミナーとなりました。
次回は、8月9日18時半から谷真介弁護士によるセミナーを予定しています。
ここでしか聞けない話もありますので、ぜひたくさんの方にご参加いただければと思います。
以上