守口市非常勤職員の雇止め事件、大阪地裁判決(2016.8.29)
2016.08.30
中西基
2016年8月29日、大阪地裁第5民事部(内藤、菊井、新城)は、守口市非常勤職員が雇止めされた事件について、原告の地位確認請求と損害賠償請求をいずれも棄却する不当判決を下しました。
原告は、国民健康保険料徴収員として、2006年6月から守口市で働いてきましたが、2014年3月末で期間満了によって雇止めされました。勤続7年10ヶ月でした。
国や自治体で働く公務員のうち、臨時職員や非常勤職員など、いわゆる非正規公務員が激増しています。総務省の調査によれば、全国の地方公務員のうち非正規公務員は、2012年には60万人にのぼっています(その4分3が女性です)。民間の労働者であれば、有期労働契約であっても反復継続して更新されている場合などについては、いわゆる解雇権濫用法理が類推適用されて、正当な理由がない雇止めは無効であると判断される裁判例が確立しており、2012年にはそれが労働契約法19条に法定化されています。ところが、公務員については、この労働契約法が適用除外とされています。
これまでの裁判実務においても、公務員の「任用」は労働契約ではないという公法私法二分論を理由に、解雇権濫用法理の類推適用が排除されてきました。これまでに雇止めを無効として地位確認を認めた例は、情報・システム研究機構(国情研)事件の東京地裁判決のみで、これについても控訴審である東京高裁で逆転敗訴しています。
これまでの裁判所の高いハードルを何とか乗り越えようと、現在、大阪では、守口市非常勤職員(勤続7年10ヶ月)と吹田市非常勤職員(勤続25年と勤続23年)の2件の雇止め裁判が闘われています。
守口裁判の不当判決については、大阪高裁に控訴して闘うことになりました。
引き続き、ご支援をよろしくお願いします