新型コロナウイルスに関するQ&A【事業者向け】
Q 子どもの小学校が休校となったために従業員に有給で休んでもらった場合に何か助成はありませんでしょうか。
A ①又は②の子の世話を行うことが必要となった労働者に対し、労働基準法上の年次有給休暇とは別途、有給(賃金全額支給(年次有給休暇の場合と同様))の休暇を取得させた事業者に対する助成金があります。
① 新型コロナウイルス感染拡大防止策として、臨時休業した小学校等(※)に通う子
※小学校等:小学校、義務教育学校(小学校課程のみ)、特別支援学校(高校まで)、放課後児童クラブ、幼稚園、保育所、認定こども園等
② 風邪症状など新型コロナウイルスに感染したおそれのある、小学校等に通う子
支給額は、休暇中に支払った賃金相当額 ×10/10
※ 支給額は8330円を日額上限とする。
※ 大企業、中小企業ともに同様。
適用日は2020年2月27日~3月31日の間に取得した休暇についてです。
https://www.mhlw.go.jp/content/12600000/000604453.pdf
Q 子どもの小学校が休校となり、仕事を休まざるを得ません。私は個人事業者ですが何か助成はありませんでしょうか。
A ①又は②の子の世話を行うことが必要となった保護者であって、一定の要件を満たす方に対する助成金があります。
① 新型コロナウイルス感染症に関する対応として臨時休業等した小学校等(※)に通う子
※小学校等:小学校、義務教育学校(小学校課程のみ)、特別支援学校(高校まで)、放課後児童クラブ、幼稚園、保育所、認定こども園等
②新型コロナウイルスに感染した又は風邪症状など新型コロナウイルスに感染したおそれのある、小学校等に通う子
●一定の要件
・個人で就業する予定であった場合
・業務委託契約等に基づく業務遂行等に対して報酬が支払われており、発注者から一定の指定を受けているなどの場合
●支援額:就業できなかった日について、1日当たり4100円(定額)
適用日は2020年2月27日~3月31日です(春休み等、学校が開校する予定のなかった日等は除く)。
https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/000606357.pdf
Q 新型コロナウイルス感染症によって、やむを得ず事業所を閉鎖する場合に、閉鎖された事業所で働いていた従業員に対し、どのような対応をすればよいのでしょうか?
A 完全に事業を辞めるという場合には、従業員は全員整理解雇をするしかありません。
事業所が複数あり、存続させる事業所がある場合には、従業員が他の事業所で働くことができるかどうかと、本人が他の事業所で働く意思があるかどうかについて確認し、配置転換による雇用の維持を検討する必要があります。
しかし配置転換によっても従業員全員は雇用の維持ができないというときには、整理解雇も視野に入れることとなり、整理解雇の4要素(①人員削減の必要性、②解雇回避努力義務を尽くしているか、③人選の合理性、④手続の相当性)を考慮して判断することとなります。
Q 在宅勤務を命じたところ、従業員が自宅作業中に怪我をしました。この場合、労災が適用されるのですか?
A 在宅勤務でも、通常の場合と同様に労災保険法が適用されます。業務上災害と認定されるためには、業務遂行性と業務起因性の2つの要件を満たさなければなりません。
業務遂行性とは、「労働者が労働契約に基づいて事業主の支配下にある状態」であることを指し、災害発生時に仕事をしていたかどうかが問われます。また、業務起因性は、「業務または業務行為を含めて、労働者が労働契約に基づいて事業主の支配下にある状態に伴って危険が現実化したものと経験則上認められること」を指します。
簡単にいうと、在宅勤務でも、業務が原因で生じた怪我については労災の対象になるということです。一方、たとえ就業時間内であっても、私的行為が原因の怪我については労災の対象とはなりません。
Q コロナウイルスの影響で売り上げが減少しており、支払が困難な状況です。新たに融資を受ける方法はないでしょうか。また、労働者に一時的に休業を求めざるを得ません。この間、休業手当も支払おうと思っていますが、売上げもなく、支払が困難です。何か助成はありませんでしょうか。
A 融資の関係は、セーフティネット保証(信用保証協会が一般保証とは別枠で融資額の100%を保証したり(4号)、通常の保証限度額とは別枠で融資枠の80%を保証する制度(5号))、セーフティネット貸付、衛生環境激変対策特別貸付等が考えられます。
また、労働者に支払う休業手当については、雇用調整助成金が使えるかもしれません。
経済産業省が事業者への支援策をパンフレットにしています。
https://www.meti.go.jp/covid-19/pdf/pamphlet.pdf
Q メーカーの下請業者として機械の一部を製作しています。コロナウイルスの問題で部品が輸入されず、メーカーが定める期限までに納品できません。メーカーから損害賠償請求をされませんでしょうか。
A 契約があればそれに従うことになります。そこで、契約がある場合とない場合にわけて考えます。
まず、契約がある場合には、不可抗力によって納品ができない場合には責任を負わないといった条項があると思われます。不可抗力の有無の判断には、今回の事象、代替部品の調達の可能性、調達のための努力の程度などを検討することになりますが、コロナウイルスによる事態であることを踏まえ、代替部品の調達に向けて努力をしたにも関わらず、それをなしえなかったのであれば、不可抗力によって納品ができなかったと判断できる可能性があります。
次に、契約がない場合には民法の規定が適用されますので、故意また過失により納品ができない場合に賠償義務を負うことになります。今回の場合に過失があるか否かについては、概ね上記の不可抗力の場合と同様の検討となり、代替部品の調達に向けて努力をしたにも関わらず、それをなしえなかったのであれば、過失がなかったといえる可能性があります。
Q 部品の製造をしているのですが、コロナ問題を理由に、受注先から減額を求められたり短納期発注をされたりと無理を押しつけられています。どうにかできないでしょうか?
A 下請法に反している可能性があります。また、政府は、業界団体等を通じて、親事業者に配慮を求める要請文を発出しています。具体的な内容は、
①サプライチェーンの毀損等を理由にして、通常支払われる対価より低い下請代金の設定を行わないこと
②適正なコスト負担を伴わない短納期発注や部品の調達業務の委託を行わないこと
③下請事業者が、事業活動を維持し、又は今後再開させる場合に、できる限り従来の取引関係を継続し、あるいは優先的に発注を行うよう配慮すること、というものです。
Q マスクの転売が禁止となったそうですが、どのような場合に違反となるのですか?
例えば海外の会員制スーパーで安く購入したマスクを、SNSで購入者を募り、購入額より高く売却する行為は違反となりますか?
A 2020年3月15日より、国民生活安定緊急措置法に基づくマスクの転売規制が始まりました。規制の対象となるのは、
①不特定の相手方に対して販売をする者からマスクを購入し、
②購入価格(仕入価格)を超える価格で、
③不特定又は多数の者に対して転売する行為です。
設問のケースですが、海外の会員制スーパーであっても①にあたり、SNSを通じた転売も③に該当すると思われます。