残念ながら共謀罪法が成立し施行されました。
私はこの法律は憲法に定める罪刑法定主義に反する違憲の法律だと考えています。罪刑法定主義は誰の、どのような行為が犯罪となり、その犯罪行為に対してどのような刑罰が科されるかを法律で定めておくべきものとする原則です。国民が権力の恣意によって思いがけず刑罰を受け、人権を犯されることを防ぐための重要な原則であり、日本国憲法は31条でこの原則を定めています。
共謀罪(組織犯罪処罰法)では、「組織的犯罪集団」の活動として、指定された277の犯罪行為を「2人以上で計画」(共謀)した者の誰かによって、「資金又は物品の手配、関係場所の下見」「その他の犯罪を実行するための準備行為が行われたときは」共謀罪が成立するとして全員が刑罰に処されます。
この法律についての国会審議の中で、「どのような組織・団体が組織的犯罪集団に当たるのか」「共謀の成否はどのような基準で判断されるのか」「準備行為の範囲とその有無の判断はどうなされるのか」などが論議されましたが、政府は結局明確な説明ができず、あいまいなままで強引に可決してしまいました。
そうなるとこの法律はその時々の権力側の都合で、恣意的に判断、運用される危険性が大きく、市民は思いがけず罪に問われることとなり、これは罪刑法定主義に反する大変危険な法律です。
この法律によりますと、何かの団体に所属していると、いつの間にかその団体が「組織的犯罪集団」と認定され、その団体の会議などに参加したことが「共謀」にかかわったことになり、さらにその団体の誰かの個人的行動が「準備行為」とされて、全員が処罰されることが生じます。
国会審議の中でこの法律の危険性が明らかにされていったのは成果であり、今度はこの法律が憲法違反の悪法であることの理解を深め広めて、その廃止を要求し、またこの法律の適用を阻止する闘いが重要です。
こんな法律がなくても、刑法、爆発物取締罰則、銃刀法などの刑罰法規によってテロ行為への対応は可能です。