大阪北部地震で被害にあわれた方へ (被災者のための法的制度)
このたびの震災に被災された方々には心からお見舞い申しあげます。
当事務所では、書棚のファイルが落ちたり、鉢植えが割れたりした程度の被害で、所員らに人的被害はありませんでした。
このたびの地震について、大阪府内の13市町に災害救助法が適用されました。
大阪市、豊中市、吹田市、高槻市、守口市、枚方市、茨木市、寝屋川市、箕面市、摂津市、四条畷市、交野市、島本町
災害救助法が適用された市町にお住まい・お勤めの被災者の方々には、次のような制度があります。
<住宅ローンや事業ローンの返済にお困りの個人の方>
「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」が適用され、一定の要件のもと、住宅ローンや事業ローンの免除・減額を申し出ることができます。
詳しくは、大阪弁護士会のHPをご参照ください。
<被災した中小企業・小規模事業者の方>
経済産業省が次のような対策をおこないます。
①特別相談窓口の設置
日本政策金融公庫や大阪信用保証協会などに特別相談窓口が設置されます。
②災害復旧貸付の実施
災害により被害を被った中小企業・小規模事業者に対して、日本政策金融公庫が「災害復旧貸付」を実施します。
③セーフティネット保証4号の適用
災害の影響により売上高等が減少している中小企業・小規模事業者を対象に、大阪信用保証協会が一般保証とは別枠の限度額で融資額の100%を保証します。
④債務返済条件の緩和等の対応
国が、日本政策金融公庫、商工中金、信用保証協会に対して、返済猶予等の対応をするよう要請しています。
⑤小規模企業共済の災害時貸付
小規模企業共済契約者に対し、中小企業基盤整備機構が原則として即日で低利で融資を行います。
<震災にともなう休業中の賃金・休業手当について>
災害救助法の適用にかかわらず、震災にともなって、休業を命じられた場合の賃金や休業手当については、以下のとおりです。
まず、従来、労働契約や労働協約、就業規則、労使慣行に基づき、使用者の責に帰すべき休業のみならず、天災地変等の不可抗力による休業についても、休業中の時間についての賃金、手当等を支払うこととしている企業においては、休業手当ではなく、賃金を支払わなければなりません。
次に、このような労働契約、労働協約、就業規則、労使慣行がない場合には、労働基準法の規定によることになります。
労働基準法26条は、使用者の責に帰すべき休業について、休業期間中、当該労働者に平均賃金の6割以上の休業手当を支払わなければならないと定めています。
今回の地震により、事業場の施設・設備が直接的な被害を受けていない場合には、たとえ、取引先や鉄道・道路が被害を受け、原材料の仕入、製品の納入等が不可能となったことにより労働者を休業させる場合であっても、原則として、「使用者の責に帰すべき事由」による休業にあたりますので、休業手当を支払わなければなりません。
なお、厚生労働省が「東日本大震災に伴う労働基準法等に関するQ&A(第3版)」を公表しています。
今回の地震においても参考になりますのでご参照ください。
<被災者のための様々な制度について>
自然災害に被災された方々のためには、他にも様々な制度があります。
日弁連が「被災者生活再建ノート」を取りまとめていますので、参考になさってください。
<障害のある方への支援など>
NHKハートネットTV「災害・誰も取り残さない」
「災害時の支援に役立つ資料」(国立障害者リハビリテーションセンター)
自閉症の方やそのご家族・支援者向けの「防災・支援ハンドブック」(一般社団法人日本自閉症協会)
「障害を抱え特別な支援が必要な子どもと、その家族のための緊急時対応準備マニュアル」(PDF:11.8MB、国立国際医療研究センター)
「災害時の発達障害児・者支援エッセンス」(PDF:4.7MB、国立障害者リハビリテーションセンター研究所)