相続法の改正についての解説④
2019.05.10
徳井義幸
Q 自筆遺言を作りやすくするための改正の内容はわかりましたので、現在の遺言書の制度一般についても簡単に説明をしてくれますか。
A はい、遺言書には自筆遺言以外に公正証書遺言があります。
これは公証人の前で証人二人の立ち会いの下で作成します。自筆遺言に比べると費用や手間がかかりますが、その分多くの場合遺言書を巡る争いを避けることができますし、遺言の実現の手続も比較的容易です。
Q 公正証書遺言の方がおすすめなんでしょうかね、デメリットはなんでしょうか。
A 遺言の内容を事前に人に知られたくない場合には公正証書は利用は出来ませんね。
あとは手間と費用の負担の問題でしょうか。例えば公証人の手数料として遺産の額が3000万円までであれば44,000円程度かかります。弁護士に案文の作成等を依頼する場合にはその費用の負担も必要になりますね。紛争予防のための経費として割り切ったうえで活用することが必要でしょうね。自筆遺言証書についてその厳格な作成ルールのために、作成された自筆遺言のうちのわずか3%しか有効なものがないという統計もあるぐらいですから。
へぇ、本当ですか。家族のための遺産が家族の紛争のタネになってしまっては意味がありませんからね。よく考えてみます。