相続法の改正についての解説⑥
2019.05.29
徳井義幸
Q 配偶者居住権をもっと具体的な例を挙げて説明してくれませんか。何となくしかまだわからないので。
A 例えば、妻と子が相続人で、遺産が夫名義の1000万円の自宅と、1000万円の預金であったとしましょう。
子は独立して別所帯で、妻は自宅に住んでいます。相続で自宅を妻と子が2分の1ずつ、預金を500万円ずつ取得しますね。妻が安心して居住するために自宅を一人で取得する遺産分割をすると、これで1000万円を相続してしまうので、預金1000万円は子のものになって、お金を相続できず不安ですね。
逆に預金について半分の500万円を取得すると自宅についても半分の権利で、子も2分の1の権利をもらいます。子と母親が対立して、子が自宅に対する権利500万円をお金で欲しいとなると自宅を売るしかないことになります。
こういう事態を防止するのが配偶者居住権です。