相続法の改正についての解説⑨
2019.06.19
徳井義幸
Q 今回の改正でさらに夫婦間の自宅の贈与について優遇措置がとられたと聞いていますが。
A そうですね。現在の相続法では例えば妻が自宅を夫の生前に贈与を受けると、遺産の先渡しを受けた取扱いをされて夫死亡時の遺産の配分はその分減らされてしまいます。それを改めたんですね。
Q 具体的にはどう改めたのでしょうか。
A 婚姻期間が20年以上になる夫婦の間では自宅を贈与したり遺贈したりしても、原則として遺産の先取りとして計算されることはありません。
従って、例えば、1000万円の自宅を妻に贈与してしまっていて、夫の死亡時には預金が1000万円のみとしても、子と妻はその預金を半分ずつの500万円ずつを分けることになり、結局、妻は1500万円も取得できますね。