相続法の改正についての解説⑩
2019.06.19
徳井義幸
Q 預貯金の払戻制度ができたとも聞いていますが、どういうことでしょうか。
A 平成28年12月に最高裁は相続された預貯金にも遺産分割の対象となり、相続人全員の合意がないと払戻しができないということになっています。そうすると、葬儀費用など当面の支出を遺産があるのにとりあえず相続人が自己負担しなければいけなくなってしまい不便ですね。
Q 確かに借金を残して死んでしまい、それを支払える預金があるのに相続人全員の合意がないので払戻しができないというのも不便ですよね。
A そうですね。今回の改正では預金残高の3分の1について、各相続人の相続分の限度で一人で払戻が認められることにしました。
例えば、預金が900万円あったとして、その3分の1である300万円について、妻はその相続分である2分の1をかけた150万円について一人で払戻ができますよ。但し、この払戻は一つの金融機関から上限が150万円までしか認めないという制限がありますが。