相続法の改正についての解説⑭
2019.07.24
徳井義幸
Q 遺留分は金銭でしか請求できなくなったとのことですが、他にもどんな改正がされたのでしょうか。
A 従来は、遺留分侵害に見合う金額に相当するお金は直ちに支払う必要がありました。しかし、その金額が多額になると、その資金が用意できない場合も出てきます。そうすると不動産の確保のために金銭請求しかできなくしたのに、金銭を支払えないため、結局不動産を差し押さえたりされてしまい、不動産を失うことになりかねません。
そこで、今回の改正では、金銭の支払について裁判所は相当な猶予期間を設けることができるようにしました。
これによって不動産の遺贈を受けた人がその遺言のとおり、不動産を確保しやすくしたわけです。
Q なるほど。例えば、遺言で自宅不動産を妻に与えたいと思った夫の意思が充分に尊重される結果になりますね。
A そうです。その通りですね。それが不動産に持分を認めず金銭請求しか認めないようにした今回の改正の目的ということです。